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2022.12.11(日)記
雑木の多くが葉を落とした公園は色も淋しくなりましたが、池の周囲はまだ秋の色をとどめています。秋楡(あきにれ)の褐色に色づいた葉は、地面に落ちると白くなって林床を覆います。茶色く積もっているのは落羽松(らくうしょう)の落ち葉です。ツバキの艶やかな緑に、イロハモミジの紅葉が映えています。


2022.12.10(土)記
十二月に入り、町角の植込みで大黄花片喰(おおきばなかたばみ)が花をつけ始めました。秋にピンクの花をつける花片喰(はなかたばみ)のように、長い花柄の先に大ぶりな花をいくつもつけます。近くの陽だまりでは、先月から芙蓉片喰(ふようかたばみ)が花を開いています。筒状に巻かれた花が漏斗形に開くと、奥の黄色が目を引きます。白花以外にピンクの花もあり、花の色や風情が夏から秋にかけて咲く芙蓉(ふよう)の花を思わせることが名前の由来でしょうか。


2022.11.19(土)記
明日は雨の予報で、午後の公園はすでに一面の曇り空でしたが、池にかかる木橋のたもとは、黄色く染まった大きな銀杏(いちょう)のおかげで、その一帯だけほんのりと明るく感じられました。大木の足元にはもう落ち葉が敷かれつつあります。周囲を彩る落羽松(らくうしょう)や欅(けやき)の茶色、榎(えのき)の黄緑、山茶花(さざんか)の緑が、銀杏の黄色と静かに調和しています。


2022.11.12(土)記
公園には、他の雑木に交じって唐楓(とうかえで)が所々に植わっています。花の木と同じカエデ属の高木ですが、花の木より半月ほど遅く11月半ばから12月初めにかけて紅葉または黄葉します。緑地の端にあって普段目立たない写真の木も全体に黄味を増し、上部の枝先が紅く色づき始めています。どういうわけか、写真右下のひと枝だけいち早く葉が色づき、西日にひときわ映えていました。


2022.11.07(月)記
野球場の南の丘には、花水木を見下ろすように花の木(はなのき)が並んでいます。春の芽吹きの美しさからその名がある花の木は、秋の紅葉・黄葉も見事で、木ごとに異なる色あいに染まります。園路に下りると、辺りの木々が西日に包まれていました。黄葉しつつある榎(えのき)のそばで金茶色に輝く欅(けやき)は神々しいほどです。夏の猛暑がそれほど続かず、降雨も適度にあったせいか、花の木や欅、桂など、落葉樹の中でも葉が薄く、暑熱や乾燥の苦手な樹種が枝に多くの葉を保ったまま秋を迎え、それぞれの色に公園を彩ってくれています。


2022.11.06(日)記
公園に着いたのは午後4時。体育館北側の花水木(はなみずき)は紅葉が一段と深みを増し、上部の枝先はもう葉を落とし始めています。西に傾いた太陽からの光は見る見るうちに逃げていき、5分ほどですっかり陰りました。野球場の南の丘にまわると、小径の花水木の紅い実に西日はまだ辛うじて届いていました。



2022.10.30(日)記
2週間ぶりの公園では、花水木(はなみずき)の紅葉が進んでいました。丘の小径の木は、葉がチョコレート色に変わっていました。沢山の紅い実に交じって、玉ねぎ形の小さな白い花芽がもうできています。体育館北側の木は、実こそついていませんが、西日が紅葉に一枚一枚異なる明暗を浮かび上がらせています。



2022.10.29(土)記
郊外の道路に沿った畑地のすみに片喰(かたばみ)の一群を見つけました。春にあちこちの道端に咲いていたこの小さな花は、夏場はほとんど見られず、秋の訪れとともにまたそこかしこで見かけるようになりました。先の尖った細長い実がたくさんついています。これが裂けて、中の種子が周囲に飛び散るそうです。


2022.10.18(火)記
公園の端に藤袴(ふじばかま)の植込みがあります。先月末から少しずつ開花しており、そろそろ見頃でしょうか。白い花に交じって淡紫色の花も見られます。下の写真には、渡り蝶の浅葱斑(アサギマダラ)が写っています。この花の蜜を吸って憩いだ後、遠く南西諸島やその先の台湾辺りまで飛んでいくそうです。



2022.10.17(月)記
公園内のそこここで、金木犀(きんもくせい)が匂い立っています。園路沿いにたくさん植わっていますが、花期以外は目立たず、こんもりと静かにたたずむ常緑樹です。池の畔には真弓(まゆみ)の若木が育っています。その紅い鈴なりの実を、そばの金木犀の橙黄色の花が引き立ててくれているように見えます。


2022.10.16(日)記
昨日公園に着くと、西に傾き始めた日差しが体育館北側の花水木(はなみずき)にも届いていました。葉の色が黄緑から明るい茶に変わりつつあります。一方、野球場の南にある丘の小径の花水木は、赤銅色に色づいた葉とたくさんの紅い実で目立っています。体育館北側の木はほとんど実がついていませんが、色づいた葉はやわらかそうで、西日が透けていました。小径の花水木の色づいた葉はこわそうで、よじれています。4月にはどちらの木も白い花を咲かせます。



2022.10.15(土)記
農道沿いのコスモスの畑。昨秋は整然と咲き乱れていましたが、今年は手入れされず、伸び放題、咲き放題といった趣です。公園への道すがら、また玉簾(たますだれ)を見かけました。愛らしい白花なので、刈らずに残してくださったようです。やがて前方の道端に、黄色く光るものが見えました。草むらから茎の頂部だけをのぞかせた雌待宵草(めまつよいぐさ)の花でした。待宵草の仲間はふつう夕方に開花しますが、苛酷な環境が日中から花を咲かせるのでしょうか。



2022.10.02(日)記
晴天に恵まれたこの週末は、また真夏日になりました。真夏とは明らかに異なるからりとした陽光の中を歩いて一周し、帰宅するとやはり汗ぐしょになっていました。道々撮った写真には、彼岸花(ひがんばな)だけがそれなりに写っていました。撮影場所は、郊外の用水路の脇、郊外の畑の縁、公園の園路沿いです。



2022.09.28(水)記
今月中旬からあちこちの道端で目を引く濃いピンクの花と大きな三つ葉。花片喰(はなかたばみ)です。他のカタバミ属に比べて花も葉も大きく、5枚の花弁と3枚の小葉が円みを帯びています。他方、とある畑の縁で木洩れ日を受けているのは、白い花と大きな三角の三つ葉が特徴の三角葉片喰(さんかくばかたばみ)です。この場所でしか見かけませんが、花は6月下旬から咲いています。カタバミ属に特有の就眠運動で、三つ葉は閉じかけた傘のような形になっています。



2022.09.26(月)記
郊外で辺りを見渡すと、道沿いの土手や田んぼの畔のそこここに赤いものが見えます。開く前の花がまだ結構ある一方、すでに色あせた花も見られます。陽ざしを存分に浴びて咲く一群もあれば、雑木の陰でひっそりと咲く一群もあります。昨年道端で写真に収めた一群は、今年は草むらにうずもれています。一様に咲く印象の強い彼岸花(ひがんばな)ですが、その表情は一様ではありません。



2022.09.25(日)記
2週連続の週末3連休の最終日は、午後から晴れ渡りました。田んぼの脇の草地に玉簾(たますだれ)が3輪咲いています。今月初めに見つけたときは他の草に埋もれるように咲いていました。今日は周囲が除草されていて、玉簾の白い花が眩しく感じられました。刈らずにおいてくれた方に感謝です。田んぼの端では、米粒大の花をつけた白花桜蓼(しろばなさくらたで)が風にそよいでいます。



2022.09.16(金)記
今週も連日の真夏日です。ただ、台風の接近で今週末からは雨の予報です。大型なので心配ですが、これが過ぎると少しは秋らしくなるでしょうか。さて、一昨年の夏に玄関の前を彩ってくれた鉢植えのハイビスカスです。数ある栽培品種のうちで最もなじみ深いのは、和名を仏桑花(ぶっそうげ)という写真の種です。惜しいことにこの木は冬に枯れてしまい、ひと夏だけの思い出となりました。



2022.09.04(日)記
昨日は道端に視線を落として歩きました。田畑の間の細い道では、車のわだちの傍らで一群の韮(にら)が花を開きつつあります。花の下方には、つぼみの束を包んでいた半透明の膜がまだ少し残っています。一方、そこかしこで傾きながら風に揺れているのは荒地花笠(あれちはながさ)です。写真の個体は丈の低さが幸いしているのか、通る車や人に倒されることもなく育っているようです。長くなった花穂や、その先にまばらについた花に、夏の終わりを感じます。


2022.09.03(土)記
道端の草むらに、雌待宵草(めまつよいぐさ)が一株立っています。茎や葉にからまったつる性の草を取り除き、写真を撮りました。高い茎を中心として、根元付近から放射状に短い茎が伸びています。待宵草の仲間は夕方に開花します。次第に日没が早くなる8~9月に花期を迎える雌待宵草は、花の咲きそろった姿を明るいうちに見ることはなかなか難しいようです。写真に写っている花は、昨夜から今朝にかけて咲いていたものと思われます。小待宵草(こまつよいぐさ)の花はしぼむと赤くなりますが、雌待宵草の花はしぼんでも黄色いままです。


2022.09.01(木)記
前回の報告で、紅葉葵(もみじあおい)のことを書きました。実は以前、街角で少し趣の異なる紅葉葵を見たことがあります。花弁の先が細くなく、まるいのです。隣には芙蓉(ふよう)が植わっていました。付近の道端には、葉の裂け目がやや浅い個体(右上の写真)も見られました。紅葉葵は宿根草、芙蓉は落葉低木ですが、ともにフヨウ属で、花期は8~9月です。これらの紅葉葵は芙蓉と自然交雑を重ね、花弁や葉の形が芙蓉(下の写真)に似てきたのでしょうか。



2022.08.28(日)記
一昨年の秋、道端で自生する紅葉葵(もみじあおい)から熟した実をひとつ失敬し、昨年の6月末に庭に種をまきましたが、時期が遅かったために生育途上で秋になり、枯れました。今年は初夏に自力で発芽し、今週ついに花をつけました。どの株も草丈1m未満と貧弱ですが、花は立派です。開花してまもない朝に撮影した左の写真では、先端の5本の雌しべがまだ開いていません。元の道端では、母親の個体がまわりの草にあらがいながら花を咲かせています(右の写真)。


2022.08.27(土)記
道端のそこここに昼顔(ひるがお)の花が咲いています。花の多くは草むらの中に見え隠れしている状態です。昼顔はまわりの草につるを巻きつけて自らを支えながら、何とか花を虫目につきやすい位置に保とうと懸命です。道端では、黄色い花をつけたつる性の草も見かけました。葉の形から、蔓茘枝(つるれいし)のようです。一般にはゴーヤー(沖縄のことばで「苦い瓜」の意)の名で知られています。近くの畑からこぼれた種が道端で発芽したものと思われます。



2022.08.14(日)記
郊外の用水路の脇に、萩(はぎ)に似た花が咲いています。よく見ると、花の色や葉の形、枝ぶりは萩そっくりですが、花のつき方が違います。調べてみると、萩と同じマメ科の低木、駒繋(こまつなぎ)と分かりました。萩の枝は先の方を除くと木質で、株立ち状です。一方、駒繋は枝全体が草質で、草萩、河原萩などとも呼ばれます。名前の由来について、馬をつないでおけるほど枝や根が丈夫であるとか、馬が葉を好み、この木から離れなくなるとか言われています。


2022.08.08(月)記
水田の広がる一帯を歩くとき、道沿いの田んぼの端が気になります。藪虱(やぶじらみ)の細かな白花はまだ咲いていますが、毛狐の牡丹(けきつねのぼたん)のつぶらな黄花はもう見られません。8月になり、代わって鰭田牛蒡(ひれたごぼう)が黄色い4弁花をポツポツと開き始めています。休耕田では、かなり内側まで侵入しています。そんな田んぼの片隅に、白い蓼の仲間を見つけました。花の色と花序の形から、白花桜蓼(しろばなさくらたで)のようです。まわりを鰭田牛蒡が取り巻いています。近くで、花序のまだ小さな犬蓼(いぬたで)も見つけました。初夏によく見かけた犬蓼の花ですが、7月は姿がありませんでした。秋には、このつぶつぶした赤紫の花があちこちの道端で見られるはずです。



2022.08.07(日)記
午後3時過ぎ、強烈な陽ざしの中へまた足を踏み出しました。ただ、風は心地よく、思えば今日は立秋です。昨日、猩猩草(しょうじょうそう)のことを調べた際に、初雪草(はつゆきそう)という草の存在を知ったのですが、先週末に郊外の畑で見かけた草が初雪草だったような気がしていました。その場所に着くと、やはりそうでした。上部の葉が白く縁取られていて、遠目に見ると草全体が白く光り、確かに雪をかぶったみたいです。猩猩草と同様、茎の先には小さな花からなる杯状の花序が集まっています。杯状花序はトウダイグサ属の草に特有です。


2022.08.06(土)記
多少とも日差しの弱まるのを待って夕方、いつもの道を歩きました。道路沿いの花庭に目をやると、頂部だけ葉が朱に色づいた草がありました。帰宅して調べてみると、猩猩草(しょうじょうそう)という名の草で、クリスマスに出回るポインセチアと同属であるとのこと。ポインセチアは和名を猩猩木(しょうじょうぼく)という常緑の小低木で、頂部の葉(苞葉)全体が赤くなりますが、猩猩草は一年草で、苞葉の基部だけが色づきます。このようにして目立つことで、苞葉の中心に集まっている黄緑色の小さく地味な花に虫たちを誘うのでしょうか。


2022.07.31(日)記
昨夕、海岸伝いにチャペルの前を通りました。庭の柵は上部が緑の葉に覆われ、濃い橙色の花が浜風に揺れています。凌霄花「マダム・ガレン」ではないかと思います。中国原産の凌霄花(のうぜんかずら)と、米国東部に自生し、アメリカ凌霄花とも呼ばれる小凌霄(このうぜん)とを交配した栽培品種です。凌霄花の優美さと、小凌霄の野趣を兼ね備えています。庭の入口では、海紅豆(かいこうず)が深紅の独特な花をつけています。南米原産の低木で、アメリカ梯梧(でいご)とも呼ばれます。暑熱のせいか、束の間、南国にいる錯覚に陥りました。



2022.07.30(土)記
川の河口近くの護岸で、コンクリートの隙間に生えた柳花笠(やなぎはながさ)を見かけました。三尺バーベナという別名のとおり、草丈は1m足らずで、同じクマツヅラ属(バーベナ属)の草である荒地花笠(あれちはながさ)などが大人の背丈ほどになるのとは対照的です。海沿いの県道に出ると、駐車場のブロック塀に沿って七変化(しちへんげ)の姿がありました。七変化は常緑の小低木ですが、この個体のように道端などで宿根草として自生し、夏場にだけ現れるものも多いです。シチヘンゲ属(ランタナ属)は、クマツヅラ属(バーベナ属)と同じクマツヅラ科に属します。茎の先に花が半球形に密生する、茎の断面が四角い、そして苛酷な環境にも生えるなどの点で、七変化は柳花笠と似ています。


2022.07.17(日)記
梅雨明けから続いた猛暑は収まり、週間予報の欄には雲や傘が並んでいます。公園の木々はしっとり潤い、その足元で勢いよく雑草が伸びています。そんな中、折角咲いた浜朴(はまぼう)の花が雨に打たれて傷んでいました。写真は一昨年と昨年の今頃に撮った浜朴の花です。半分重なり合った5枚の花弁は基部が褐色で、正面から見た花は船のスクリューを思わせます。本来は海岸に自生する木であるせいか、海浜植物によく見られる分厚い葉をうっそうと茂らせています。


2022.07.02(土)記
先月半ばに入梅し、わずか2週間で梅雨の明けた東海地方。時ならぬ猛暑に連日うだっています。夕方公園にたどり着くと、体育館の北側で下野(しもつけ)が短い日照の最後の一滴を浴びていました。昨年よりも半月ほど遅い開花です。カメラを向けていると、視界の隅にちらつく影が…。「金魚草」の異名をもつ姫檜扇水仙(ひめひおうぎずいせん)の花が、隣で気だるそうに揺れていました。


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