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2022.06.28(火)記
週末に出会った初夏の紫をもう2つ。道路脇の手入れされた花庭で揚羽蝶を誘っていたのは野薊(のあざみ)です。最初目に入ったときは赤紫に見えるのに、そのうち紫に見えてくる不思議な花です。道路沿いの畑は、アガパンサスの薄紫に縁取られていました。毎年こっそりと写真を撮らせてもらっている場所です。


2022.06.27(月)記
薄紫の小花で頭部を飾り、茎を抱くように葉がついているのでその名がある抱き葉荒地花笠(だきばあれちはながさ)は、花穂が茎の先にかたまってつくので、花穂がバラけている近縁種の荒地花笠(あれちはながさ)よりも目立ちます。上の写真では舗装の亀裂からたくましく生えており、下の写真では他の草とともに群生しています。大人の背丈ほどにもなり、四角い茎の下部はまるで角材です。うっかり歩道にはみ出して、へし折られてしまうことも少なくありません。



2022.06.26(日)記
休耕地に沿った道路の脇に、この雑木カルテットはたたずんでいます。緑一色で分かりにくいですが、左奥の高い木が南京黄櫨(なんきんはぜ)、その右の白いものをのせた木が唐鼠黐(とうねずみもち)、両木の手前の大きな葉の低い木が桑(くわ)、その両隣りと右奥の小ぶりな葉をもつ木が栴檀(せんだん)です。いずれも空き地や道端で普通に見られる雑木ですが、このように4種が1か所で寄り添っているのは珍しいかもしれません。唐鼠黐(とうねずみもち)南京黄櫨(なんきんはぜ)は6月下旬~7月上旬に花期を迎えます。右上の写真では、唐鼠黐はピラミッド形の白い花序を、南京黄櫨は黄緑色の細長い花穂をたくさんつけていますが、ともにまだ開花前です。ここへ来る途中、花の開き始めた唐鼠黐を見かけました。また南京黄櫨の花穂は、開花すると垂れて風に揺れます。



2022.06.12(日)記
6月になると公園の夏椿(なつつばき)も開花します。近くには半月ほど先に開花してすでに花期を終えた姫沙羅(ひめしゃら)があります。ともにツバキ科の落葉樹です。花や葉は夏椿のほうが大きく、姫沙羅の花が開き切らずにこんもりと咲くのに対して、夏椿の花は大きく開き、花弁の縁にしわがあります。


2022.06.09(木)記
公園に着くと午後5時を回っていました。池の北側から流れ出る小川のほとりはとうに木立の陰になっていて、青色系を主とした花菖蒲(はなしょうぶ)の花が静かに咲いていました。西日にまぶしく照らされた菖蒲園の花とは対照的な趣です。花菖蒲の花は多彩ですが、どれも外花被片の基部に黄色い班があります。



2022.05.29(日)記
金曜の夕方、旧街道を南へ歩き、昔ながらの町家が点在する町並みをそれて海岸に出ました。湾の向こうから延びてきた雲に太陽が隠れ、海からの風が心地よく顔をなでます。護岸沿いの斜面の砂地には浜昼顔(はまひるがお)が広がっていました。その薄桃色の花に交じって、カリフラワーのような浜防風(はまぼうふう)の白い花序や、小待宵草(こまつよいぐさ)の黄色い花も見られます。どれも厚めの葉をしていますが、砂浜での生育に適しているのでしょうか。帰り道、ところどころ砂の積もった道端にも、浜昼顔と小待宵草の姿がありました。

追記:浜防風は、根に生薬の防風に似た効用があることが名前の由来です。見た目に違わず、新芽は酢みそ和えやてんぷら、刺身のつまなどにされるそうです。この日、砂地の一角には莫邪菊(ばくやぎく)も群生していました。サボテンを思わせる多肉質の葉の間に、イソギンチャクのような花がいくつか見えました。



2022.05.26(木)記
午後6時半、歩道に咲く小待宵草(こまつよいぐさ)です。夕暮れに開く黄色い花は、翌朝にしぼんで赤くなります。薄暮の道端にポツポツと咲いている小待宵草は、どこか幽玄な佇まいです。同じマツヨイグサ属でも、昼咲月見草(ひるざきつきみそう)は薄桃色の花を日中もどっと咲かせ、とても賑やかです。


2022.05.23(月)記
昨日は郊外をぐるりと歩いた後、いつもの公園を訪ねました。池にかかる橋のたもとで、今年も姫沙羅(ひめしゃら)が花をつけました。枝の下側につくので目立ちませんが、ほのかにピンクがかった花弁を開き切ることなく、うつむいて咲いています。ツバキ科の落葉樹で、夕方には花ごとポトリと落下します。

園内の草地では、豚菜(ぶたな)の黄色い花が揺れ始めました。数本に分かれたひょろ高い茎の先にそれぞれ、小ぶりのタンポポのような花をつけます。その足元に点々と咲いている小さな淡青色の花はアヤメ科の一年草、庭石菖(にわぜきしょう)です。郊外の道端で見かけた庭石菖は、赤紫色の花でした。



2022.05.22(日)記
休耕地の広がる郊外の道路は日曜の午後ともなると通る車も少なく、歩道の脇でカメラを構えてじっとしゃがんでいてもそれほど恥ずかしい気はしません。軽く汗ばむほどの陽気だった今日、道端にはちょっとした黄色い絨毯のように薬玉詰草(くすだまつめくさ)の花が敷きつめられていました。傍らでは、すくっと伸びてきた姫女苑(ひめじょおん)がその白い花で夏の到来を告げています。



2022.05.08(日)記
里山の道路は通る車も少なく、長実雛罌粟(ながみひなげし)が穏やかに揺れていました。筒状のつぼみの先端に筋が数本見えますが、ここがパクリと割れて花が開くのでしょうか。側溝のポリ袋に気づき、取り除こうとした手がわずかに触れると、花はいとも簡単に散ってしまいました。隣には母子草(ははこぐさ)の姿がありました。白みがかった茎葉とツブツブした黄色い花が特徴的です。

2023.04.22 追記
筒状のものはつぼみではなく、花後にできた若い実です。長実雛罌粟のつぼみは卵のような形で細い毛に覆われ、うなだれるように下を向いています。



2022.05.05(木)記
公園の一つ葉田子(ひとつばたご)が雪化粧をしました。毎年、大型連休と花期が重なります。同じモクセイ科のトネリコ(別名、田子)に似ているけれども、トネリコのように複葉ではなく単葉であることからその名がついたそうです。国内では木曽川流域の岐阜県南東部と愛知・長野両県の一部、それに長崎県の対馬にだけ分布します。花後にできる1センチ大の丸い果実は秋に黒く熟し、これを食べた鳥によって散布されますが、なぜか天然分布域が限られています。


2022.04.25(月)記
一昨日、公園では躑躅(つつじ)が咲き出していました。例年、赤い小ぶりの花をつける品種が最初に開花します。次いで紫、白、薄桃のなじみ深い色合いの花が咲きそろいます。明るい陽ざしはありませんでしたが、曇り空の下でかえって葉の黄緑色が深みを増し、花もしっとりと落ち着いた佇まいをしていました。


2022.04.24(日)記
道端のいたる所で片喰(かたばみ)の小さな黄色い花が見られるようになりました。昨日は少し変わった片喰を2種見かけました。一つは花色からすると紫片喰(むらさきかたばみ)のようですが、花は一回り大きく、赤紫色をしています。もう一つは普通の片喰に似ていますが、黄色い花弁のすき間に緑色の細いがく片がのぞき、3枚の小葉はハート形ではなく、縁に粗い切れ込みがあります。

2022.05.07 追記
右の写真は片喰ではなく、蛇苺(へびいちご)です。初夏に赤い実をつけます。

2022.06.22 追記
左の写真は紫片喰ではなく、芋片喰(いもかたばみ)です。芋に似た地下の塊茎で殖えるのでその名があります。芋片喰の花は全体が赤紫で、雄しべの先が黄色です。紫片喰の花はピンクですが花筒の奥は黄緑で、雄しべの先は白色です。


2022.04.23(土)記
郊外の農道脇の草むらに、燈台草(とうだいぐさ)の一群を見つけました。数個の雄花と雌花が小判形の腺体に囲まれ、それらは杯状に合生した苞葉に抱かれています。雄花を燈火に、苞葉を油の受け皿に見立ててその名がついたそうです。まだ水の張られていない田の縁には、そこここに母子草(ははこぐさ)が群生しています。茎葉全体が白く柔らかい毛に覆われていて、つぶつぶした黄色い花はやがて白い綿のようなものを生じます。春の七草のひとつ、御形(ごぎょう、おぎょう)はこの草です。3月3日に草餅をいただく風習は古く中国から伝わったそうですが、かつて草餅に使われていたこの草は漢名の日本語読みで「はんはんこう」と呼ばれ、これが転じて和名の「ははこぐさ」になったようです。


2022.04.09(土)記
夕方、郊外の道をぐるりと歩きました。道沿いの草地では、矢筈豌豆(やはずえんどう)の小さな紫の花や西洋蒲公英(せいようたんぽぽ)の黄金色の花が目を引きます。4月になり、田の畦では紫雲英(げんげ)の花が揺れ、そこかしこで白詰草(しろつめくさ)も開花しました。道端の春もいよいよ本番です。



2022.04.04(月)記
公園の池の周囲には枝垂桜(しだれざくら)が植わっています。土曜日、園内の染井吉野は満開でしたが、枝垂桜は6~8分咲きに見えました。これらの枝垂桜は、先月21日に紹介した江戸彼岸(えどひがん)から作られた八重紅枝垂(やえべにしだれ)という品種です。淡紅の花色と、がくの基部の形が似ています。



2022.04.03(日)記
今日は雨の予報だったので、昨日公園に行きました。薄曇りの下、大島桜(おおしまざくら)の白い花は今ひとつ引き立ちませんが、満開に近い状態でした。山桜と同じく、花と同時に新葉が展開します。山桜の新葉は茶色をしていますが、大島桜の大きな新葉も緑色に茶色が差しています。まだとても柔らかです。


2022.03.31(木)記
昨日夕方に家を出て、公園のこの木の所に着いたのは5時過ぎでした。園路を外れた緑地の端に一株だけある大島桜(おおしまざくら)です。小さな木ですが、古木なのか幹に大きな洞ができています。今年の開花は例年より遅く、山桜や染井吉野と重なりました。大島桜の葉は塩漬けにして桜餅に使われます。


2022.03.29(火)記
桜の開花が告げられて最初の日曜、公園では染井吉野の花はまだ少なく、早咲きの山桜や枝垂桜の花が目を楽しませてくれました。公園西側の園路に沿った緑地には李(すもも)の木が数株あり、花期を迎えていました。黄緑色の萼(がく)と5枚の白い花弁、雄しべの先の黄色い葯(やく)が印象的な可愛い花です。


2022.03.28(月)記
市の圃場のフェンス際には、満作とともにモクレン科の木々が並んでいます。昨日前を通ると、花の多くは傷んでいるか、すでに散っていました。残っている花も、前日の雨に打たれて大きな白い花弁には茶色い染みが目立ちました。写真は1週間前の夕刻の辛夷(こぶし)白木蓮(はくもくれん)の花です。


2022.03.22(火)記
郊外の道端が春の野草で色づき始めました。仏の座(ほとけのざ)の紫くらいしか色のなかった草地に、先月半ばから大犬の陰嚢(おおいぬのふぐり)の水色、今月からは薺(なずな)の白が加わりました。畑からこぼれ出たらしい油菜や、花茎を伸ばし始めた蒲公英(たんぽぽ)も所々に黄色を添えています。


2022.03.21(月)記
郊外の貯水池の周囲に植えられた江戸彼岸(えどひがん)桜の並木。昨春、車で前を通った時にその存在を知りました。いつもの公園からさらに15分ほど歩いた場所ですが、昨日足を延ばすと、すでにがく片だけとなった花が目立ちました。淡紅色の小ぶりな花と、がくの基部の円筒状の膨らみが印象的です。


2022.03.19(土)記
今月初めまで寒い日が続き、例年より半月ほど遅れて進んでいる印象だった梅の開花も、このところの春らしい陽気でピッチを上げたようです。1週間前、コートなしで訪れた公園の梅林では、八重の梅(うめ)が開花していました。園内では杏(あんず)も、早咲きの株が胴吹き枝に淡紅色の花をつけていました。


2022.03.03(木)記
畦道で夕陽に映える仏の座。その姿から三階草(さんがいぐさ)とも呼ばれるシソ科の越年草です。ただ、春の七草の「ほとけのざ」はこの草ではなく、小鬼田平子(こおにたびらこ)というキク科の越年草で、黄色い花をつけます。道端ではまだ、冬の蒲公英(たんぽぽ)がこぢんまりと地際に咲いています。


2022.03.01(火)記
2月半ばに圃場の満作(まんさく)のことを書きました。今はもう、在来種の満作赤花満作も花が咲きそろい、花色だけでなく花の形や枝ぶりも異なる3株がフェンス際に並んでいます。いずれも、去年の枯れ葉が枝に残っています。花は蝋梅(ろうばい)のように香り、花弁もゴテゴテした感じは蝋梅に似ています。


2022.02.27(日)記
冬が寒かったせいか、梅の開花が遅れているようです。穏やかに晴れた昨日、公園の梅林では、膨らんだつぼみを抱えてもどかしそうな様子の枝が目立ちました。それでも佐布里梅(そうりうめ)を始めとして、開花は着実に進んでいます。園路では冬の花、山茶花(さざんか)がまだ新しい花をつけています。


2022.02.21(月)記
早咲きの梅がそこかしこで開花しています。公園の梅林は園路に降りる石段の両側に広がっていて、園路からは仰ぎ見るような感じになります。この梅林では例年どおり、紅梅や佐布里梅から開花が始まりました。佐布里梅(そうりうめ)は桃に梅を接ぎ木して作られた地元種で、星形の淡紅色の花が可憐です。


2022.02.14(月)記
市の圃場は南側が一部土手になっていて、昨年末から水仙(すいせん)の花が咲いています。近づいて猫目線で写真に収めました。早春の陽ざしを浴び、土手一面が明るい緑色に波打っているようでした。なじみ深い日本水仙と同じく房咲きです(1本の花茎に複数の花がついています)が、花は八重咲きです。


2022.02.13(日)記
公園への道筋に市の圃場があり、フェンス沿いに満作が3株並んでいます。そのうちで最初に開花するのが、大きな黄色い花をつける写真の株です。この週末は満開でした。前年の枯葉が枝に残っていることから、中国原産の支那満作(しなまんさく)のようです。花色の異なる他の2株も各々開花が始まりました。


2022.02.12(土)記
農道沿いの畑地で、素心蝋梅(そしんろうばい)の黄色い花が輝いています。三連休の中日、連日の穏やかな陽光の下、見る者の浮き浮きした心が一段とまぶしく見せるのかもしれません。むかし通った高校の正門前では、蝋梅(ろうばい)も満開を迎えました。クリーム色の花弁は、名前のとおり蝋細工のようです。



2022.01.31(月)記
春を待つ秋楡(あきにれ)の木立です。秋に開花・結実し、落葉後も実の殻(から)を枝につけたまま冬を越します。この時期、逆光気味に眺めると、淡い茶色の実殻をまとった樹冠全体がキラキラとかすんで見えます。陽射しのない日はどんよりと墨絵のように、雨の日はぼんやり煙っているように見えます。


2022.01.16(日)記
庭先や道端で、蝋梅(ろうばい)が花をつけています。多くの木では年末から花が見られますが、寒い日が続くせいか、丸く膨らんだつぼみは例年よりゆっくりと開いている気がします。素心蝋梅(そしんろうばい)の開花も始まりました。こちらは花の内側まで鮮やかな黄色で、やはり芳香が鼻をくすぐります。


2022.01.03(月)記
公園まで歩きました。途中の道端に白詰草や片喰の花はもう見られず、花の咲いている野草は仏の座くらいでした。花期は春なのに、十月末から咲いています。公園では先月、山茶花や寒椿に交じって椿まで開花しましたが、年末寒波のせいか、今、花は傷み、開きかけた蕾は固まってしまったように見えます。


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